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2007年09月05日
◎世界的な資金供給がバブル生み出す公算

今回発生したサブプライムローン問題による、一連の金融危機はおよそ10年ぶりという衝撃的なものであった。これは筆者の思い込みでもなんでもなく、一例を挙げると通貨オプション市場において1ヶ月物ボラティリティ(変動率)が30%超をつけ、98年あのLTCM破綻以来の高水準をつけたことにも示されていると思われる。

さて、そんなサブプイラムローン問題が引き起こした金融危機はいったいどこに向かうのだろうか。過去の同様の展開を参考に考えて見たい。
足元の市場で問題になっているサブプライムローン問題を取り巻く市場環境と、前述98年に起こったロシア危機、ヘッジファンドLTCMの破綻の際の展開が似通っているという声が一部で聞かれている。その本質的なものはともかくとして、98年のケースでも今回同様に流動性の危機に陥った先があったため、断続的な資金供給が観測されているほかFRBが緊急利下げを実施している。当局の行動という面でも前回と今回は確かに似ていると言えるのかも知れない。

まだ当面はサブプライムローン問題がマーケットのイシューになりそうだが、ここで検討したいのは短期の話ではなく、中長期の話について。やや先走り過ぎのキライもあるけれども、「サブプライム問題のその後」---と言うことについて考えてみる。

98年ロシア危機のその後の展開を振り返ってみると、先ほど指摘したように当局が資金をジャブジャブに供給した結果、ある意味では当たり前なのだが、金融市場ではいわゆる「バブル」が発生した。00年の米国でいわゆる「ITバブル」と呼ばれるものがあったことを覚えている方も少なくないように思う。

したがって、今回についてもサブプライムローン問題が終焉したあと待っている危険性のあるものは「バブル」の発生そして破裂になるだろう。どこの国で発生し、そして破裂するのか、などといったことはまったく判らないが、中央銀行の動きや株価動向などを参考にすると一部の欧州諸国かあるいは中国が最有力候補であるように思っている。

いずれにしても、過去の経験則からすると2、3年後にはそれの訪れる可能性はほぼ確実であると思われるため、先々のリスク要因ということで是非とも頭に入れておいていただければと思う。(了)



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