記憶に間違いがなければ、読んだ本の話をするのは今年に入って初めての気がする・・・。 例年に比べるとペースはやや遅めだが、それなりに推理小説を中心に本は読んでいるし、そのなかには結構面白い本もあるけれど、ここで取り上げるほどのモノは正直なかった。
さて、今年初めて取り上げたい本である「クワタ本」とは、最近元気な新書版、具体的には集英社新書で発売されている「クワタを聴け!」(著者・中山康樹氏)のことになる。 なお、ここで言う「クワタ」とはサザンの桑田さんで、元巨人の桑田真澄さんのことでありません(笑)。悪しからず。
ともかく、本のオビに「怒涛の全曲批評!」−−とあるように、サザンあるいは桑田佳祐さんがソロでこれまでに出した曲の批評が1曲ずつ書き込まれている。 若干の余談をいえば、この本は書店でタイトル(オビ含む)を見て、速攻買いしたもの。したがってどんな内容が開くまでまったく判っていなかった。著者名だけで本を買うことは日常茶飯事だが、タイトルだけで本を買ったのはホントに久しぶりのことだったと言ってよい。
正直言って、最初はなかなか楽しめた。筆者の知らない創作裏話なども散りばめられており、「ふむふむ」と首肯しながら読み進むことが出来た。新書版にしては400ページを超える異例の厚さだが、それでも筆者などは読むのに2日かかりませんでしたから。 この手の本は読むのに時間がかかるのが普通だが、小説並みのスピードで読み終えてしまった。
本のなかでは1曲ずつに批評だけでなく点数(星)も付けられている。好きな曲は人それぞれなので、筆者の好きな曲が低い点数を付けられていてもそれ自体は仕方がない。 が、初期作ばかりに高い点をつけ、最近の作の点が総じて辛いのはいったい何故か。また、それに続くコメントも同様で、新しいものほど辛辣なものになるのはいったい何故なのだろう。この傾向は、昔っからのサザンファンに多い(最近は売れセンに走り過ぎだ、etc)のだが、中山氏も御多分に漏れずだった。
もっとも、歌に限らず様々なもので「昔は良かった」−−とノスタルジックな気分を前面に出す人は少なくないし、筆者もそんな傾向はありますけどね。 気持ちは判るけど、ホントにそう思うのなら「無理に聴くなよ。いっそ聴かなきゃいいじゃん」って筆者などは考える。
また、文中に「本場のロック」などロックという言葉が優に100回以上出てくるのだが、その定義もせずに、単に「日本人には無理」的なコメントは辞めて欲しい。では聞くが、どんな音楽が中山氏のいうロックなのか。必要十分条件をキチンと挙げたうえで批判して欲しいね。「音楽評論家」を名乗るならさ。
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