タイトルの「啓蒙」−−では、ちょっと「大上段」過ぎる気もするが、適当な言葉が見つからなかったので勘弁していただきたい。 ともかく、先日ある証拠金会社で、「為替証拠金取引」をまったく知らない(あるいは興味のない)個人投資家に対して、如何にその魅力を教えたらよいのか、という相談を受けた。 ちなみに、一回こっきりではなく、何度かのシリーズでやりたい意向のようだった。
すると、そのなかで担当者からは「やはり金利の話をするべきだろう」とか「資産運用の話のなかで為替の優位性を・・・」−−とか、そんな話が挙げられた。
「個人投資家向け」とされる、ちまたの多くの書物もそんなところから話が始まっているのだが、筆者は実はちょっと違うと思っている。もちろん、それらの重要だし大事だ。説明がいらない、しなくて良い、と言っているわけではない。 ないが、最初はもっと根本、根幹的な説明をするべきなのではなかろうか。
・・・と言うことで、筆者だったら一体何の話をするのか、ちょっと考えたのだが、やはり「為替取引とはなにか」から、話をはじめたい。 先に挙げた「金利」や「資産運用」の話とは、いずれも投資についてのもの。最近の為替市場は資本取引のウエイトが極めて高いことは周知のことだと思うが、為替取引の基本的なところに「貿易取引(経常需給)」があるわけで、そのことをキチンと認識して欲しいからだ。
たとえば、筆者の知人にも「為替取引は怪しい」と言って憚らない人間がかつていたのだが、業界に携わる筆者からすると、その意見は勘違いも甚だしいと思う。 と言うのも、為替市場が消滅すれば貿易にかかわる業務に甚大な支障をきたすことは間違いないからだ。そういう意見を述べる方は、「貿易取引」と為替の密接な相関性が判っていての発言なのだろうか。 100歩譲って怪しいとした場合、では諸外国との貿易取引をどう処理したらよいのか。すべてを物々交換にしますか(笑)。それも江戸時代のように鎖国をしますか。
ただし、知人をひとことフォローしておくと、ある意味知らなくても仕方がないとも言えるだろう。 何故なら、そんなことは誰も教えてくれない話であり、為替の入門書などであまり取り上げられることはないモノだからだ。
テクニカル分析の手法−−などを教えることも結構だが、個人投資家の方たちにもっと基本的な話を教える機会があっても良いと思う。 「為替取引」は絶対に必要不可欠な取引であり、健全なものだ、ということを理解してもらうということが、新規個人投資家の参入を促し、業界全体の認知を上げることにも繋がると思うのだが、業者の方たちはいかがお考えだろうか?
▲top |