今週の為替市場は、足元の円全面高とドル全面安の継続性を図る1週間となりそうだ。
チャートを見ると、ドル/円相場は7月安値の91.73円を更新してきただけでなく、安値87.10円を起点とした大きな上げ幅の76.4%押しに当たる90円半ばも割り込んできた。すでに90円割れも目前で、いよいよ80円台突入の可能性が高まってきたと言わざるを得ない状況。実際、一部の市場筋からは「90円割れを見るまで治まらない」−−などとする声も聞かれ始めている。
確かに材料的にはドル売り、円買いの要因に事欠かない。アトランダムに思いつくだけでも、アメリカ長期金利の低下、中国や途上国、国連などによるドル資産離れ、オバマ政権によるアメリカ財政赤字の拡大懸念、日本の鳩山次期新政権による円高容認観測−−などが挙げられるだろう。材料面からも、ドルの続落にはやはり要注意と考えられる。
しかし、シカゴIMMの円ロング・ポジションの増加などにも示されるようにポジションの偏りが顕著になりつつあるうえ、マーケットのセンチメントがあまりにドルベアに傾斜していることはやや気掛かり。また、日柄的にもドルの下落はおよそ1ヵ月にも及ぶため、そろそろ本格的な調整を期待する向きも少なくない。基本的なリスクは下向きだが、ドルの反発にも是非注意をしたい。
そうした状況を踏まえたうえで今週は注意すべきポイントは大きく2つある。 ひとつは、発表されるアメリカの経済指標で、今週は15日に小売売上高とNY連銀製造業指数、16日に鉱工業生産とNAHB住宅市場指数、17日に住宅着工件数−−などが発表される予定となっている。経済指標の好数字が即ドル高に繋がっていないところが悩ましいものの、ともかく発表されるアメリカの経済指標がどの程度の数値なるのか、景気回復は順調であるのか、そのあたりをしっかりと見極めてみたいと思う。
そして、2つめの要因は、引き続き需給的な要因だろうか。 9月の中間期末に向けた国内勢による資金還流の動きなどのほか、海外勢にとっても7-9月、四半期決算期末にあたるため、やはり資金の本国回帰観測が高まっている。また、それ以外では日本勢は今週末から5連休に当たることで、それに向けた駆け込み的な為替予約や投機筋などのポジションメーク、あるいは薄商いを狙った仕掛け的な動きなども気になるところかも知れない。 いずれにしても、経験則的にみて「秋相場は荒れ易い」と言われていることもあり、ここからの取引にも十分に注意をしていただきたい。
P.S. 日々のドル/円のストラテジーは「為替一家の華麗なるFX生活」にて。
▲top |