今週の為替市場は、先週末に再燃したドル安基調がどこまで続くのか、その見極めがポイントとなりそうだ。短期的なものに留まるとの指摘も聞かれるが、対円はともかく対ユーロでのドル安は続く、などとする声も決して少なくない。そうした意味においては、ドル安の行方もさることながら、ユーロ高の継続性にも要注意か。ユーロ主体の展開が続くようなら、ユーロ/ドルとユーロ/円の動意に挟まれ、ドル/円はやや方向性を欠く値動きをたどる可能性も否定できないだろう。
テクニカルに見た場合、先週は週末を除くと83.40-84.40円程度、1円ほどのボックス圏を形成しており方向性が乏しかったが、それを週末に下放れてきた。また、同時に目先のサポートと見られた移動平均の90日線、そして一目均衡表では先行帯の雲の上限をともにNYクローズベースでも割り込んできている。リスクは再び下方向にバイアスがかかると言わざるを得ない。 そんなドルの次のサポートは11月安値80.23円を起点とした上げ幅のフィボナッチ61.8%押しにあたる81.80円レベルか。一目の雲の下限は比較的近い81.60-70円で推移することもあり、大雑把に言って81円後半をめぐる攻防が要注意であるのかも知れない。
そうしたなか、今週は材料的に注目されることが大きく2つある。 ひとつは、数があまり多くないものの発表される米経済指標か。先週末に発表された11月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を大きく下回っただけでなく同時に失業率も悪化、予想外のネガティブ・サプライズとなったが、1週間を通して雇用関係以外の指標を振り返ってみると必ずしも悪い内容のものばかりではなかった。実際、住宅関連や小売りなどには改善傾向がうかがえ、精々まだら模様といったところ。米景気について過度の悲観論を唱えることに、個人的には違和感を覚えており、一段のドル安要因となるのかどうかは微妙な気もしている。 なお、今週は米経済指標の発表だけでなく、リアルタイムに報じられるいわゆるクリスマス商戦ついての動向や見通しなども意外に注意する必要があるのかも知れない。
次に注視される要因は、これまでの継続案件ともいえる欧州のソブリンリスク。足もとについては正直懸念がいくらか和らいでいる感もあるが、ポルトガルやスペインなどへ飛び火するリスクが消えたわけではない。とくに、スペインは欧州における大国で、仮に危機に陥ったとしたらアイルランドなどの比ではない。そうした動きに繋がる兆しがあるのかどうか、今週も欧州の動静から目の離せない状況が続きそうだ。 上記のような情勢を踏まえたうえで、具体的な材料としては6日にユーロ圏の財務相会合が実施されるほか、7日のアイルランドによる2011年度予算案の議会提出−−をとくに注目したい。
最後に、それ以外の注目要因をアトランダムに列挙すると、これまで継続案件であるアジアの地政学リスク、菅内閣の行方ならびに日本の政局、トータル660億ドルに及ぶ米債の入札、クリスマスや年末年始をにらんだ各種需給要因、中国の金利動向とそれを受けたとくに新興市場や新興国通貨−−などにも注意を要したい。(了) ▲top |