今週の為替市場は、先週末に進行した円独歩安の商状が一時的であるのかどうかを見極める展開となりそうだ。発行される国債のほとんどが国内で消化されているとは言え、日本の格下げが先日実施されたほか、依然としてデフレ状況からの脱却について道筋がハッキリしないなど、材料的には正直円を買いにくい。と言うより、売り要因が多いとさえ言えるだろう。しかし、日柄的には3月期末に向けたリパトリなども実施され始める時期で、需給的には逆に円高方向へ振れても不思議はない。今週は材料と需給のせめぎ合いが相場の先行きを左右する展開か。
テクニカルに見た場合、先週は週末金曜日に週の高値と安値を同時に記録するなど、なかなかの大荒れをたどった。1日の変動幅およそ1.4円は今年の1月5日以来、1ヵ月ぶりの大変動だったことになる。 そんなドル/円相場は今年に入ってからクリアに81円レベルを割り込んでおらず底堅さがうかがえるものの、需給的に重そうな82円台をどこまで上昇出来るのか、目先的にはドルの反発力を試す様相にある。そんなドルの抵抗は、まず週を通して82.35円レベルで横ばいに推移する一目均衡表の先行帯の雲の下限。しかし、雲の上限は82.40-55円程度に位置、雲そのものが非常に薄い状況を続けるだけに、逆に抜ければ一気に値の飛ぶ展開をたどらないとも限らないように思われる。
そうしたなか、今週は材料的に大きく3つの要因を注視している。 ひとつは先にも書いた需給要因で、3月期末に向けた本邦勢のリパトリなどにまずは注意を要したい。また、2月は通常月よりも米債の償還が多いことで知られており、クーポンの利払いと併せてそれが月の半ばに掛けて円転観測を引き起こすこともままある。したがって、今週だけではなく、来週の前半程度に掛けて円高リスクとして注意をしておく要因であるのかも知れない。
ふたつめの要因は、9日から旧正月が明ける各種の中国ファクターだ。 幾つかあるなかでもっとも注視したいのは、「旧正月前に実施されるのでは」−−と噂されたものの結局見送られた利上げ観測について。遅くとも月内には実施されるとの見方が根強いなか、ヒョッとすると週末に掛けて思惑が再燃する可能性も否定できないだろう。
最後3点目は、米国の景気動向で発表される指標はもちろんのこと、要人の発言などにも注意を要したい。先週末に発表された注目の1月米雇用統計は失業率が大きく改善する反面、非農業部門雇用者数は予想外の悪化となった。しかし、後者について大雪による影響が大きかったとの解説もあるなど、数値の悪化は必ずしもネガティブな要因とならず、実際先週末のNYタイムにドルは上昇して大引けている。 とは言え、見方については意見も分かれており、今後の各種経済指標や発言を見極めたいとの雰囲気も感じられる。明るい見通しを示唆するようなものか発表されるのかどうか、それによりドル/円の先行きにも変化が生じそうな気がしている。
上記以外に注目されるものを幾つかアトランダムで列挙すると、トータル720億ドル規模実施される米債の入札、周辺国への波及も含めて気掛かりなエジプトで発生した地政学リスクの行方、トヨタ(8日)や日産(9日)をはじめ発表される日本企業の決算−−などとなる。(了)
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