・・・・・・今日はマジメに、自分の専門分野の話を。少し難しいかも知れません。
昨日、日銀が「異次元」と言われる金融緩和に踏み切った。 正直、ここまでの内容が出るとは思っておらず、筆者も黒田日銀を甘く見ていたと反省しきりです。まさに、完敗・・・・・・。
そんな日銀の対応を評価する方が、政財界のみならずエコノミストなどにも多い。 がしかし、筆者は実はまったく逆の印象だ。5年後なのか10年後なのか分からないが、将来振り返ったとき、「あれがすべての元凶だったのね」−−というような禍根を残すモノであったと思っている。
ちなみにひとつだけ断っておくと、これは筆者が「他人と同じことが嫌い」なため、ワザと逆説的な意見を言っているのではない。むしろ、何故こうした意見がエコノミストなど専門家から出てこないのかが不思議でならない。 確かに、「大胆な政策」であることだけは確かですけどね・・・・・・。
何故評価しないのかというと、大きく3つの意味がある。 ひとつは、今回の措置は確かに一時的には効果がありそうだが、長い目で見た場合に日銀のバランスシートが確実に悪化するという点で、中銀の権威が失墜しかねないリスクを孕んでいること。
次に先で指摘した効果についても、長い目で見た場合にはどれほどの効果があるのか疑問に思うこと。さらには、むしろ副作用の方が大きいのでは、と思うことも挙げられる。
また、黒田日銀総裁は終了後の会見で「現段階で出来ることはすべてやった」と言っているが、これを逆に言うと「もうやれることはなにもありません」と同じなのでは?初回にカードをすべて使い切ったという手法も本当に褒められることなのだろうか、という疑問もある。 今月末に次回の理事会が予定されているのだが、追加措置は果てして実施されるのか?個人的には、「宝刀」は抜かないところに意味がある、気がしないでもない。
なお、金融市場には「山高ければ谷深し」−−という格言がある。 元大蔵省(現財務省)財務官であった黒田氏が知らぬハズはないだろう。ともあれ、今回黒田日銀が構築した「ヤマ」は意図したのかどうかは分からないが、結果的にあまりに高くて険しいものになった。反動を懸念するのは決して筆者だけではないと思うのだが・・・・・・。
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