仕事に関する「真面目」な話をひとつ。
最近、そこここで「中国主導のアジアインフラ投資銀行」、通称でAIIBの話題を目にする。
色んな論調があるものの、大筋は参加を見送った日本政府の対応を批判する内容だ。 たとえば、プレジデントでは「アジアインフラ投資銀行でアベノミクス崩壊の危機」−−などと、相当歪んだ論調を掲載していた。ハッキリ言うけど、全然違うと思う。
確かに、50ヵ国以上が参加表明したことは、政府の想定外のところもあった。筆者も、幾つかの取材で、そうした話は聞いているし。
しかし、だから、「日本が参加した方がイイ」かどうかの話とは、別の話だ。 曲がりなりにも、金融の専門家である観点から、筆者の見解を書いてみる。
複数の報道を見たけれど、意外にも(?)そのあたりのことを書いているところが少なかったので・・・・・・。
AIIBに問題と思われるポイントは幾つかあるのだが、話を筆者の専門である「金融」に話を限定すると、「ホントに資金が集まるのか?」という根本的な懸念が実はある。
だって、AIIBが想定している出資金は1000億ドル、うちアジアが75%負担としているけれど、そのほとんどが債務国だ。つまり、アジアだけで750億ドルが必要なのだが、カネをだせるような国がない。
日本が参加したら、間違いなく「財布」にされますね・・・・・・。 これが問題の第一点。
中国の要人が日本の参加を強く求めているのは、確実にこのためです。
さらにいえば、こうした国際機関が資金調達する場合、ほぼ債券を発行するが常識なのだが、AIIBの場合には「中国主導」なので、格付けは中国に準ずるものになることと推察される。
とすると、国際的には、それほど高い格付けではない。つまり、信頼性は低く、資金調達が容易でないのだ。格付けはシングルA程度ですからね・・・・・・。
ここで中国の影響を指摘する人もいるのだが、ハッキリ言って金融市場は相当シビアです。中国だから、といってホイホイとカネを貸すような投資家は居ません。 思ったように債券が売れ、資金が集まるかどうかは、かなり怪しいだろう。
−−こんなことは、筆者たちのような「国際金融」を齧った人間には、なかば常識的な話なんだけど。
国際的な信用性を挙げる意味でも、日米の参加は、まぁ必要不可欠なんでしょうな。日本の格付けは中国より、上ですから。
しかし、不思議なことに、大手マスコミの書き手などは、前述したような話をまず書かない。知らないのか、それとも知っていて書かないのか・・・・・・。
ともかく、AIIBに関しては、日経など大手マスコミの報道でも、あまり信用しない方がイイかも。
日本はどっしりと構え、最後の最後まで不参加を決め込んでもイイ気が筆者はしています。 ただ、米国が参加を表明したときには、その前提が崩れますけどね。
それまでは、強気の態度で「ケセラセラ」で行きましょう!!
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